大規模修繕工事は、工事項目で大まかに分けると
①共通仮設工事
②直接仮設工事
③下地補修工事
④タイル補修工事(外壁等がタイル仕上げになっている場合)
⑤シーリング工事
⑥洗浄工事
⑦各種防水工事
⑧その他建築雑工事の8項目から成り立っております。
前回は「④タイル補修工事」についてコメントしましたので、
今回は「⑤シーリング工事」についてコメント致します。
大規模修繕工事で使用される主流のシーリング材は、
石の取合部やプレキャストコンクリートの目地等に使用する2成分形(基剤+硬化剤)ポリサルファイド系、
陶磁器タイル目地・カーテンウォール目地・アルミ製品廻り等に使用する2成分形変成シリコーン系、
塗装・防水など上から被覆される面に使用する2成分形ポリウレタン系(ノンブリード型)、
主にガラス廻りの目地に使用する2成分形シリコーン系の4種類があり、
その4種類のうち3種類に部分補修や使用量の少ない部位に使用する
1成分形のカートリッジタイプ(ポリサルファイドを除く)があります。
シーリング材の打替えにはいくつか細かいルールがあり、
「1)既存シーリング材の撤去において当日打替えられる分量以上に撤去してはならない。」
「2)目地の交点で打ち継いではいけない。」という2項目が代表的なルールとなります。
また、ルール(決まり事)以外にも現場での施工の際に注意しなければならない点が、
2成分形変成シリコーン系を使用する場合です。2成分形変成シリコーン系には、
薄層未硬化現象という特有の欠点があり、
薄く付いた部分のシーリング材は固まらない(硬化不良)という現象が起こります。
原因は、シーリング材中に含まれる反応促進触媒が空気中の水分によって分解され,
その効力を減じるためと考えられます。
したがって、低温・多湿の条件下での薄層部分に特に起こりやすい現象です。
このルール・注意点を踏まえた上で弊社の現場代理人や作業員は施工にあたっているため、
現場で薄層未硬化が原因となるトラブルが起きたことはありません。
単にシーリング打替えと言っても用途によって使用する材料が異なります。
この程度の基本的な知識は大規模修繕工事に携わっている人間としては最低限必要な知識となります。
マンションにお住いの皆様におかれましても、貴マンションで大規模修繕工事を行われる際は、
シーリング打替えの注意点に目を向けて個人的に検査していただくのも良いかと考えます。
次回は⑥洗浄工事について・・・
マンション大規模修繕のニーズワン
増田 浩二