「防水工事」について
大規模修繕工事では、工程の短縮や改修期間の仮防水の点から、
既存の防水層の上に新たな防水工事を施工することが多いようです。
居住者の方には見る機会の少ない工事ですが、
屋上からの漏水防止にとって最も重要な工事になります。
今回は「改質アスファルトシート防水(常温工法)」の絶縁方法で施工します。
「改質アスファルト」とは、アスファルトの物性を改良し耐久性を向上させたものです。
「常温工法」とは、火や溶剤を使わず、粘着シートで貼る、煙や臭いのない工法です。
とは言うものの、シートの癒着にトーチバーナーを使います。
「絶縁工法」とは、通気層を設ける事によって防水層の膨れを抑制する工法です。
□下地処理工事
〇防水下地を高圧洗浄し、汚れを落とします。
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高圧洗浄を行います |
〇既設のアルミ笠木を撤去します。
既存防水立上りの撤去及び新規防水の工事のために撤去します。
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スチール笠木を撤去します | アルミ笠木を撤去します |
〇既存防水層の立上りを撤去します。
(防水の平場部に比べて、立上り部は膨れや劣化が激しいので、改修工事の時に撤去して、
新規に貼り直します。この時に、防水材で仮防水を必ず行います。)
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防水立上り部の撤去を行います |
※この時に、ハツリによる騒音と振動が発生します
〇膨れ、シワ部分は切開し、バーナー等であぶり戻し、アスファルト系塗膜防水を行います。
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切開してバーナーで炙ります |
「改質アスファルトシート防水」の下地処理が完了したら新規の防水層の施工を行います。
「平場」と「立ち上り部」では施工要領が違います。
□防水工事
「立ち上り部」
・立ち上り部にはプライマーを塗ります。
(既存層を剥がしたコンクリート面です)
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コンクリート面にプライマーを塗ります |
↓
・立ち上り部は密着シートを貼ります。
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密着シートを貼っています |
↓
・2層目に砂付きシートを膨れの無いようにしっかりと貼ります。
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2層目の砂付きシートをしっかりと貼ります |
↓
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アルミ笠木を復旧します |
↓
・トップコートを塗って完了です。
(太陽光を反射し、防水層の温度を下げる機能を持つ塗料を塗ります)
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「平場」
・平場には下地活性剤を塗ります
(既存の砂付きシートの上に新規のシートを接着しやすいようにするためです)
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下地活性剤を塗っています |
↓
・平場には1層目のシート(部分密着)を貼ります。
(シートの裏にストライプ状の溝が入っていて通気層になっています)
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1層目のシートを10㎝重ねて貼ります |
↓
・2層目に砂付きシートを膨れの無いようにしっかりと貼ります。
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2層目の砂付きシートを貼っています |
↓
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脱気筒を新設します |
・トップコートを塗って完了です。
(太陽光を反射し、防水層の温度を下げる機能を持つ塗料を塗ります)
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マンション大規模修繕工事のニーズワン
杉本達男