大規模修繕工事は、工事項目で大まかに分けると
①共通仮設工事
②直接仮設工事
③下地補修工事
④タイル補修工事(外壁等がタイル仕上げになっている場合)
⑤シーリング工事
⑥洗浄工事
⑦各種塗装工事
⑧各種防水工事
⑨その他建築雑工事
以上の9項目から成り立っております。
前回は「⑥洗浄工事」についてコメントしましたので、今回は「⑦各種塗装工事」についてコメント致します。
大規模修繕工事では、補修工事で発生した粉塵・ホコリ・経年の汚れ、
また脆弱化した劣化塗膜等を洗浄工事により洗い流した後にコンクリート面・吹付タイル面・
その他塗装仕上面(ボード面を含む)の塗装(仕上げ)工事を行います。
塗装材料は、主に水系塗料(水で希釈する塗料)と
溶剤系塗料(塗料用シンナーで希釈する塗料)の2種類に分かれます。
一般的に鉄部等の塗装には溶剤系塗料を、鉄部以外の塗装には水系塗料を使用致しますが、
技術の進歩により近年では鉄部塗装を行う際にも水系塗料を使用するケースもございます。
しかし、耐候性や艶等の仕上がり具合が溶剤系の方が水系より優れているため、
弊社で鉄部塗装を行う際は、原則として溶剤系を使用致します。
外壁塗装工事を行う上でどうしても施工を避けなければならない状況がいくつかございます。
「外気温が5℃以下の時・湿度が85%以上の時・炎天下で被塗面湿度が高く塗装した部位が泡を生じる時・
被塗面に湿気があり含水率が多い時・被塗面が結露する恐れがある時」など、
このような状況下で塗装を行うと「艶が出ない」「滑らかな仕上り面にならない」等の不具合が発生致します。
最低限、温度・湿度を確認してから施工することをお勧め致します。
バルコニーや廊下の天井の多くは、リシン吹付(石や砂・樹脂・セメントなどを混合した材料で
スプレーガンで吹き付けて施工する表面がザラザラした新築の際のメジャーな仕上げ方)で
仕上げられていることが多いため、塗装を行う際は、塗膜剥離部や下地補修箇所をリシン吹付により
肌合せを行ったのち、骨材入りの水系塗料で塗装を行うことをお勧め致します。
「補修跡が全く目立たなくなる・膜厚が保たれるため仕上りが綺麗になる」というメリットがあるからです。
塗装工事ひとつを取っても様々な判断が必要とされるため、
しっかりと理論武装が出来ている現場代理人を選ぶことが、
大規模修繕工事が上手くいくコツではないかと思います。
次回は⑧各種防水工事の中から、⑧-1ウレタン防水工事についてコメント致します。
マンション大規模修繕のニーズワン
増田 浩二