大規模修繕工事は、工事項目で大まかに分けると

①共通仮設工事 ②直接仮設工事 ③下地補修工事 ④タイル補修工事(外壁等がタイル仕上げになっている場合)

⑤シーリング工事 ⑥洗浄工事 ⑦各種防水工事 ⑧その他建築雑工事 の8項目から成り立っております。

 

前回は「⑤シーリング工事」についてコメントしましたので、今回は「⑥洗浄工事」についてコメント致します。

大規模修繕工事では、「足場架設・下地補修・タイル補修・シーリング打替え」が完了した面の

仕上げ工事に取り掛かる前に補修工事で発生した粉塵・ホコリ・経年の汚れ、

また脆弱化した劣化塗膜等を洗浄工事により洗い流します。

コンクリート面・吹付タイル面・その他塗装仕上面(ボード面を除く)は、

高圧水洗機を用いて水圧力120~150kg/c㎡、水量10~20ℓ/分の勢いで直噴射ノズルもしくは

15°噴射ノズルを使用して汚れや劣化塗膜を除去致します。

タイル面の洗浄には、酸性フッ化アンモンをベースとしたクリンストン(製品名)を一般的に使用致しますが、

クリンストンは受注生産品を含め8種類の酸性フッ化アンモンの含有率が異なる製品があるため、

現場では必ず試験施工が必要となります。

マンションの外壁タイル面の汚れは経年による雨だれ汚染や排気ガスの汚れを含んだ

油汚れ等によるものであるため、水洗いだけではとても落とし切ることが出来ません。

とは言うものの、いきなり洗浄力の強い薬品を使用してしまうと

タイルの表層を痛めてしまうため薬品洗浄によって外観を損ねてしまう結果を招いたり、

逆に洗浄力の弱い薬品を使用すると殆ど汚れが落ちなかったり、

また、落ちたとしても作業効率が著しく悪くなってしまうことがあります。

そのため、洗浄作業の薬品をチョイスするに当たり、試験施工が最も重要であると言えます。

試験施工により現場に合った適正な薬品を選択し、タイル面の薬品洗浄を行います。

ガラス・サッシ・金属製建具等は、クリンストンが付着すると

白く変色することがあるため、水養生の徹底が必要となります。

このように外壁の洗浄工事ひとつを取っても使用材料・施工方法等、さまざまな選択が必要となります。 

 

次回は⑦各種防水工事の中から、⑦-1ウレタン防水工事について・・・

 

 

 

マンション大規模修繕のニーズワン

増田 浩二