「外壁下地劣化調査」
足場が組み終わると、外壁の劣化状態(タイルや塗装面の浮きやひび割れ等)の調査を目視、
触診や打診等により行います。足場がないと正確な調査が出来ないため、この時点で行います。
この調査により見積書の数量が確定され、工事費の精算が行われます。
◆打診
打診棒やテストハンマーによる打診音の変化を聞き分けて、
モルタルやタイルのひび割れや浮き等の劣化状態と箇所をマーキングにより特定していきます。
この作業が今後の補修工事の基本となります。
◆クラック(ひび割れ)
建物表面に発生したひび割れをクラックといいます。
コンクリートのひび割れに伴って生じるものと、仕上げ面の収縮によるもの等いろんな状態があります。
ひび割れの巾にもよりますが このまま放置すると、室内への漏水の他に、炭酸ガスによる
コンクリートの中性化や雨水侵入による鉄筋の腐食、爆裂が進行しコンクリートに重大な影響を与えます。
◆鉄筋爆裂
外壁のクラックから侵入した雨水等により内部の鉄筋が酸化し腐食して体積が膨張する事により、
外側のコンクリートが押し出されて表面が崩れた状態を言います。
これは非常に危険な状態ですので、早急な対応が必要です。
この場合、鉄筋の錆を落し、防錆処置を施し、樹脂モルタルで補修を行います。
◆欠損
タイルや仕上げ材が部分的に欠けた状態を言います。
原因は凍害、熱膨張、あるいは、物が衝突するなどが考えられます。
この状態を放置しておくと、露出した部分から内部の中性化が進行し、
場合によってはコンクリートやモルタルの落下による事故の可能性が出てきます。
早急な補修対応が必要です。
◆エフロレッセンス(白華現象)
コンクリート中の水分や、ひび割れから浸入した雨水が、セメント中の石灰などを溶解し、
この溶液がコンクリートやタイル目地などの表面に出てきて空気中の炭酸ガスと化合し、
固まって白色の粉状等になったものです。
構造体の強度には問題ありませんが、外観上の問題があり洗浄を行います。
タイルやコンクリートにひび割れがあれば、補修をおこないタイルの貼替え等を行います。
◆モルタルの浮き
仕上げ材(タイル等)とモルタルの境界面、
またはモルタルと本体コンクリートの境界面の接着が不良となり、
すき間が生じ、部分的に分離した状態のことです。この状態を放置しておくと、
タイルや仕上げ材の剥落(剥がれ落ちる事)の危険がありますので、ドリルで穴をあけ、
エポキシ樹脂(接着剤)を注入する等の工法を用いて境界面を安定させます。
マンション大規模修繕のニーズワン
杉本 達男