マンションの長期修繕計画とは?必要性や注意点について解説! | 株式会社ニーズワン

コラム
2023年7月26日

マンションの長期修繕計画とは?必要性や注意点について解説!

 

マンションの長期的な運営・管理に欠かせない長期修繕計画ですが、具体的にどのようなもので、どうして必要なのかよく分からない方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、マンションの長期修繕計画の必要性や作成時の注意点、見直しのタイミングなどについて解説します。

 

マンションの長期修繕計画とは

 

マンションの長期修繕計画とは、新築時から30年後を見据えてマンションの定期的に修繕するための計画をいいます。

建物としてのマンションの寿命を延ばしながら、快適な居住環境を確保したり、マンションとしての資産価値を維持するためには、状況に応じて適切な修繕工事を行うことが必要です。

また、時代の移り変わりとともに、建物や設備の性能も価値観も変化していくため、修繕だけではなく性能を向上させる改修工事が求められるケースもあります。
そのためには、マンションの長期的な修繕工事に関する計画を立てたり、想定する工事の内容に応じて修繕積立金の金額を設定したりすることが必要になるのです。

国土交通省が発表した「長期修繕計画標準様式」

マンションの維持管理には大規模修繕工事が必要であり、そのためには長期修繕計画の作成や修繕積立金の金額の設定が必要になります。
長期修繕計画を作成する際に活用すべきなのが、国土交通省が発表した長期修繕計画標準様式です。

かつて、長期修繕計画をどのような様式で作成するのか規定がなかったため、修繕計画の作成者よって計画の作成様式が異なっていました。
そこで、マンションの管理組合が長期修繕計画を理解したり、比較を簡単にするために、新たに標準様式が策定されました。
今では、マンションオーナーは標準様式の内容に沿うことで、長期修繕計画を作成しやすくなっています。

 

マンションの長期修繕計画の3つの目的

 

マンションの長期修繕計画について、もう少し深掘りしていきましょう。適切な長期修繕計画を作成するのは、下記の3つの目的があるためです。


将来見込まれる工事の内容や費用を把握し備えるため
修繕積立金の額の根拠を示すため
計画修繕工事をスムーズに行うため

将来見込まれる工事の内容や費用を把握し備えるため

マンションの長期修繕計画を作成する目的の1つが、将来的に必要とされる修繕工事の内容や費用を把握しておくためです。

マンションを長く安全に使ったり、マンションの資産価値の維持や向上を図るためには、マンションの劣化状況に応じて、定期的に修繕を行わなければなりません。

ただし、修繕工事には費用が発生し、12年から15年周期で実施する大規模修繕工事では数千万円以上が必要になることもあります。
そのため、確実な資金計画を立てておかなければ、予算が足りずに必要な補修が行えない可能性があります。

将来見込まれる工事内容や費用を把握して備えるためにも、長期修繕計画を作成することは重要です。

修繕積立金の額の根拠を示すため

マンションの長期修繕計画を作成するのは、修繕積立金の金額の根拠を示すという目的もあります。

修繕工事のための費用として、マンションの組合員(居住者)が毎月修繕積立金を負担して積み立てます。
修繕積立金の月額を決定し、組合員に納得してもらうためには、将来的にどのような修繕工事を想定しているのか、工事にどの程度の費用が必要なのかを示さなければなりません。
その根拠となるのが、長期修繕計画になるわけです。

また、建物の劣化具合によっては長期修繕計画の修正が必要になるケースがあり、修繕積立金の値上げを検討する場合もあります。
その場合も、長期修繕計画によって根拠となるデータを示すことができれば、スムーズな合意形成を期待しやすくなるでしょう。

計画修繕工事をスムーズに行うため

当然ながら、計画修繕工事をスムーズに取り行うためにも、長期修繕計画の作成は不可欠です。

マンションの大規模修繕工事は、準備期間も含めると数カ月を要します。規模が大きいマンションであれば、年単位の時間が必要になることもあるでしょう。
長期修繕計画を作成し、管理組合員や管理会社、オーナーなどで共有・理解しておくことで、工事そのものをスムーズに進められるようになります。

また、管理組合の役員は1年から2年で交代するケースが多いです。修繕工事に対して長期的なビジョンを可視化しておけば、各期の組合役員の役割が明確になり、物事をスムーズに運ぶことができるでしょう。

 

長期修繕を行うにあたって見るべき項目

 

長期修繕計画の作成や実際の修繕工事の際には、具体的にどの部分の工事が必要になるのかを理解しておく必要があります。
具体的には下記の項目をチェックする必要があるでしょう。


仮設工事
外壁塗装
タイル補修工事
防水工事
鉄部塗装工事
建具・金物工事

各項目について詳しく解説します。

仮設工事

大規模修繕工事を始めると同時に、まず行われるのが仮設工事です。

仮設工事ではマンションの外壁や各区分のベランダの外側に足場を組み立てたり、それぞれの工事に必要な仮設設備を設置したりします。

また、足場の外側には落下物防止のためのシートが設置されます。これから始める修繕工事の品質を確保するために重要になるため、欠かせない工事であることを理解しておきましょう。

外壁塗装

大規模修繕工事では、外壁塗装工事が行われます。

マンションの外壁がタイルではなく、塗装によって仕上げられている場合は、実施される可能性が高いでしょう。
塗装はマンションの外観を保つだけではなく、雨水や汚泥などからマンションの外壁を守る効果があるため、重要な工事の1つとなっています。

年月の経過によって塗装面が剥がれている部分を撤去して、新たに塗装し直すことで、マンションの美観と耐候性能が改善されます。

タイル補修工事

タイル補修工事も大規模修繕工事で行われる工事の1つです。

タイル施工部分が劣化すると、タイルが下地から浮いてしまったり、割れてしまったりすることがあります。
劣化した部分から雨水が侵入すれば、躯体の耐久性が下がりますし、割れたタイルが落下して通行人に危険を及ぼすような事態は防がなければなりません。

タイル補修工事はタイルを打診や目視でチェックして補修を行います。タイルの修繕によって、建物の耐久性や防水性、美観性に加え、安全性が確保されるようになります。

防水工事

防水工事も、長期修繕計画には必要な工事項目の1つです。

マンションが劣化して内部に雨水が侵入すると、構造躯体に影響し、建物の耐久性の低下へとつながります。
そのため、マンションの屋上や廊下、ベランダなど、雨水などにさらされる箇所に防水工事を行い、躯体となるコンクリートを守らなければなりません。

防水を施した部分は10年以上経過すると劣化してくるため、定期的なメンテナンスが必要になります。
特に防水層が破れていたり、しわや膨れが見られたりする場合は、早急に修繕が必要になることもあるので注意が必要です。

鉄部塗装工事

長期修繕計画では、マンションの鉄部の塗装についても考えなければなりません。

各部屋の扉や手すり、外部階段などに使われる鉄部は、時間の経過とともに錆が発生するケースが多く、耐久性や美観性の低下を招きます。
丁寧な錆落としを行い、鉄部を塗装修繕することで、耐久性の確保と見た目の改善を期待できます。

建具・金物工事

建具・金物工事も、長期修繕計画に組み込みましょう。

修繕工事では、劣化が激しい場合に扉を交換することがあります。
また、住戸の表札や階数表示板など、共用部分に関係する金物は、修繕工事のタイミングで交換が必要なるケースもあるため、チェックが必要です。

 

長期修繕は5年毎に見直しが必要

 

国土交通省が発表しているマンション標準管理規約によれば、長期修繕計画は5年を目安に見直しを行うことが推奨されています。
長期修繕計画はあくまでも計画であり、現時点での予測に過ぎないためです。

定期的に見直しておかなければ修繕積立金が不足したり、修繕箇所がかなり広い範囲にわたったりするので注意しましょう。

また、長期修繕計画の見直しは管理組合だけでも行うことができますが、専門性が高い分野になるため、マンション管理会社やコンサルタントなどに相談することをおすすめします。

 

まとめ

今回はマンションの長期修繕計画の必要性や注意点、確認する項目などを解説しました。

マンションの長期修繕計画は、建物の耐久性や資産価値を向上させる他、将来の工事に備えたり、修繕積立金の根拠を示したりするなど、さまざまな視点から欠かせないものです。
本記事を参考に、長期修繕計画についての理解を深め、近い将来に訪れる修繕工事に向けて行動するようにしましょう。

 

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