大規模修繕の費用は75万~125万が相場ってホント?支出を抑える5つのコツ

コラム
2021年10月22日

大規模修繕工事の費用相場はどのくらい?

大規模修繕工事の費用の目安については戸当たり100万円とよく言われますが、概ね75万円~125万円が目安となります。もちろん工事内容、施工箇所によっても変わってきますが工事にかかる費用の目安としてこのくらいが必要と考えられます。住宅戸数別にそれぞれの大規模修繕工事の総額が一戸当たりいくらになるのかも示されています。戸数の多少に関わらず最も多い金額ゾーンは以下となります。

70万円~100万円 30.6%
100万円~125万円 24.7%

さらに、東京都市整備局の「マンション実態調査結果」によると、都内のマンションの総額として最も割合が高かったゾーンは以下となります。

1,000万円~3,000万円 35.0%
3,000万円~5,000万円 22.2%
都内の大規模修繕工事総額平均 4,294万円

建物調査診断の費用相場

建物調査診断の概算費用は次のとおりです。

30戸以下のマンション 20~40万円
50~100戸のマンション 30~90万円
200戸以上のマンション 50~100万円以上

※マンションの規模、形状や付帯設備の状況等により変動します。

大規模修繕工事の内容

大規模修繕の工事内容は大きく分類して

建物の外壁等修繕工事
共用部のリフォーム工事(建築、設備)
共用部に付随する工事

になります。工事内容はさらに細分化しますので全体で見ると大きな工事になります。ここでは大規模修繕工事について一般的な工事について記載します。実際には建物調査を実施して実施する工事内容の検討が必要になります。

①共通仮設工事

共通仮設工事は仮設足場(直接仮設工事)を除く工事期間中に必要な仮設設備のことです。現場事務所、資材置き場、倉庫、仮設トイレ等が該当します。

②直接仮設工事

大規模修繕工事に必要な仮設足場の組立、解体と仮設足場に付髄する工事になります。工事をおこなう際に高所における安全を確保するために建物周囲に仮設足場を設置します。仮設足場の他に工具等落下防止のメッシュシート、防護棚、侵入防止フェンス等が該当します。

③下地補修工事(塗装下地)

大規模修繕工事が始まると足場仮設組立が完了すると外壁、天井等の下地調査をおこないます。ひび割れ、塗膜剥離、爆裂、タイル浮き、タイル割れ等内容によって作業方法が違うため、対処方法ごとにマスキングテープやスプレーなどでマーキングをしていきます。下地補修工事についての数量は一般的に実数精算項目となっている場合が多いですが下地調査に基づいて、下地補修工事を実施していく事になります。

④下地補修工事(タイル下地)

下地調査については塗装下地と同様になりますが、タイルが割れている箇所を張り替えたり、浮いている箇所の目地に樹脂を注入にてタイルを止めるなどの工事となります。

⑤シーリング工事

建物の打ち継ぎ部分の目地や伸縮目地やサッシや建具廻りなどのコンクリート部分との取り合い部分に今あるゴム状のシーリング材を撤去して新しいシーリング材充填施工する工事となります。使用箇所によってシーリングの種類が変わります。劣化したシーリング材は劣化が進むと漏水する可能性があります。そのため確実な施工が求められます。

⑥外壁等塗装工事

③の下地補修工事(塗装下地)が完了するとホコリ、カビ、コケなどを高圧洗浄で洗浄し塗装をしていきます。材料としては一般的にアクリル塗料、ウレタン塗料、シリコン塗料、フッ素塗料など様々な材料があるので建物調査診断でおこなった際の仕様などを参考に価格など建物にあった材料を選定することになります。又、防汚、防カビタイプのものもありますので建物の環境にあわせて選定が必要になります。

⑦鉄部塗装工事

建物に使用されている鉄部部分の塗装になりますが鉄部塗装が必要な理由として美観の回復以外に鉄が錆びることを防ぐことを目的としています。(玄関扉枠、メーターボックス扉、鉄骨階段、消火栓ボックス、臭気等、避難階段扉等など)一般的にはケレン(錆落とし)、錆止め、中塗り、上塗りの工程になります。 ※鉄部塗装は一般的に3~5年の修繕周期となります。

⑧防水工事

防水箇所の改修工事となります。防水箇所として主に屋上塔屋屋上、ルーフバルコニー、バルコニー、廊下、階段などがあります。屋上防水についての工法についてはアスファルト防水、ウレタン防水、シート防水、アスファルト防水等様々な種類工法があります。施工を間違えると漏水につながる大切な部分になりますので既存の防水等を考慮し仕様について選定が必要になります。

その他工事の一例

その他の工事は以下があります。

建具交換工事(玄関ドア、サッシ交換)
耐震補強工事
エレベーター改修工事
給排水管改修工事(直結増圧給水変更等)
エントランス改修工事(自動ドア、スロープ、手摺設置等)
照明器具交換(LED)

※建物にあわせて検討が必要になります。

補足:諸経費として計上

大規模修繕工事をおこなう時には一般的に現場代理人を常駐して作業をおこないます。居住者からの問い合わせ等現場代理人が対応します。その費用や現場の経費、あと工事を請け負っている会社の経費などが諸経費として計上されます。

修繕費用を抑える3つのポイント

大規模修繕工事の費用を抑えるコツやポイントを3つ紹介します。

①相見積を取る

見積取得には、大きく以下の3種類の選定方法があります。

競争入札方式
見積もり合わせ方式
特命随時契約方式

マンション大規模修繕では一般的に「見積合わせ方式」が採用されます。公募をおこなったのち、応募があった施工業者を3~5社程度に絞り込んで見積もりを依頼します。そして、見積の取得のあと施工会社とのヒアリングをおこない、工事に取り組む会社としての考え方や姿勢を見て決定していきます。

②品質が高い業者であるかを見極める

大規模修繕工事の施工会社を決定する時、複数社から見積りをとり、1社を決定することになります。その際、費用は非常に重要な判断基準のひとつですが、同時にこれまでの施工実績や経験、工事への意気込みといった質の部分、また財務状況など経営の安定性も見て総合的に判断することが大切です。工事の仕上がりは建物の耐久性や資産価値にも影響します。補修が適切に行われていないと劣化症状がすぐに再発し、結果として余分な費用や手間がかかるといったことにもなりかねません。また、施工会社とは工事中はもちろん、施工後もアフター点検などを通じて長年にわたる付き合いが始まります。建物のことを安心して任せられる施工会社を、様々な角度から検討することが必要です。

③管理会社に丸投げしない

大規模修繕を実施するにあたって、重要な検討事項なのは高額な修繕費用ではないでしょうか。最初から管理会社任せで受け入れずに、修繕業者の選定について主導権を持って行うことができれば、修繕費用はぐんと抑えられる可能性があります。管理組合(修繕委員会)で検討が出来れば幸いですが、で着なければ信頼できるコンサルティング会社の協力を仰ぎながら、複数社の見積書やプレゼンテーションの内容を踏まえたうえで修繕業者を選ぶことが大切になります。

費用が足りない場合の対応(修繕積立金不足)

大規模修繕工事実施時に修繕積立金が足りない場合は以下の対応策を検討していきます。

大規模修繕工事の内容を見直す
一時金を徴収する
銀行などから借り入れをする

※大規模修繕工事以降の計画(長期修繕計画)についても検討は必要

それぞれ細かく解説していきます。

①大規模修繕工事の内容を見直す

提示された見積金額があまりにも高い場合は、そもそもの工事内容を見直すことも大切。工事の優先順位を決め、次回の大規模修繕にあてる工事かどうかも含めて工事内容を決めましょう。

②一時金を徴収する

費用が足りない場合は居住者から一時金を徴収する方法もある。しかし一時金を徴収する場合は総会での承認が必要となるため居住者によっては支払が厳しいケースもあるため注意が必要です。

③銀行などから借り入れをする

どうしても足りない場合は住宅金融支援機構や銀行、ローン会社、リース会社などから借り入れをするのも一つの方法です。