【プロが教える】大規模修繕の導入・費用・注意点まで分かりやすく解説Part.2

コラム
2022年11月19日

【プロが教える】大規模修繕の導入・費用・注意点まで分かりやすく解説Part.2

 

前回のコラム、【プロが教える】大規模修繕の導入・費用・注意点まで分かりやすく解説Part.1では、大規模修繕工事の主な工事内容について解説しました。
part.2では大規模修繕工事の費用や注意点について解説いたします。

大規模修繕の費用相場はどれくらい?

大規模修繕工事では、実際の工事以外にも費用が発生する工程があります。
主に下記工程が当てはまります。


事前調査
仮設工事

事前調査では、マンションの劣化状況を把握するために行い、過去の修繕や点検に関する書類の確認、目視・打診調査、赤外線サーモグラフィーカメラや電磁波を使った調査などを実施します。
外壁や廊下などの目に見える部分の劣化と、鉄筋・コンクリートなどの内部の劣化を調査することで、行うべき修繕を精査するのです。マンションの規模にもよりますが、事前調査の費用は20~100万円ほどとなっています。

仮設工事は、大規模修繕工事のための足場や作業員の現場事務所、資材置場などを設置する作業です。安全でスムーズな工事のために不可欠で、費用相場は工事費全体の20%程度。マンションの集会場を現場事務所として使用するなど、利用できる代替施設がある場合は、その分費用が抑えらえるでしょう。

これらを含んだ大規模修繕にかかる費用は、国土交通省の調査によると、半数以上のケースが1戸あたり75~125万円です。もちろんマンションの規模や築年数、修繕工事の内容によって、トータルの金額は変わりますが、目安として参考にしてみてください。
(出典:国土交通省「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」)(2022-02-21)

修繕費用を抑えるには?

大規模修繕工事の費用を抑えるには、いくつかのコツやポイントがあります。

まず、初めての大規模修繕の場合や希望する施工業者がいない場合は、複数箇所から相見積もりをとるようにしましょう。見積を提出してきた業者には見積内容を確認し、必要な工事をきちんと行ってくれると判断できてから契約するようにしてください。

例えば、材料費などが高額で見積が上がっている場合、費用がかかっても品質や耐久性の高い材料を選んだほうが、長期間使用でき結果的に安くなるということも考えられます。
大規模修繕工事の前には、事前調査をして現状を把握しておくのもおすすめです。あらかじめ劣化状況を把握しておくことで費用の概算を算出でき、先回りして修繕計画を修正できるほか、本当に必要な工事だけを確認できるはずです。
また、大規模修繕は管理会社に依頼することもできますが、コンサルタント会社に依頼するほうが費用を安く抑えられる傾向があります。マンションオーナーや管理組合が主導して実施する方法が最も費用を抑えられますが、難しい場合はコンサルタント会社へ依頼するのも一つの手段です。

補助金が活用できる自治体も

大規模修繕は、先述の通り耐久性などの観点から実施が推奨されており、助成金制度や補助金制度を設けている自治体もあります。助成制度・補助制度を実施している自治体は「公益社団法人マンション管理センター」のサイトをチェックしてみてください。利用できる条件や内容は、それぞれの自治体によって異なるため、マンションの立地している地域の情報を調べておきましょう。
参考:公益社団法人マンション管理センター(地方公共団体の補助制度)

 

着工から完了までの期間はどれくらい?

マンションの大規模修繕工事に要する期間は、マンションの規模や築年数などによって異なります。

一般的には計画から着工に至るまでに1~2年ほど、工事を始めてから完了までに3ヶ月~半年程度です。これはあくまでも目安であり、大規模なマンションなどの場合は、着工から完了までに1年以上かかることもあります。築年数が経過すると、修繕する範囲が変わるため必要な期間も変化するでしょう。

 

周期は12年ごとがベスト

国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインによると、大規模修繕は12年~15年周期え実施するとされています。策定当時の平成20年では12年目が目安でしたが、令和2年6月に関連法案が改正され社会経済情勢が変化したことなどから、令和3年9月に上記の内容に見直されました。
ただし、マンションの立地や維持管理状況によっては、大規模修繕工事の周期は短くなったり長くなったりするでしょう。それぞれのマンションに適した、工事のタイミングを見極める必要があると言えます。
参考:国土交通省「長期修繕計画標準様式 長期修繕計画作成ガイドライン 長期修繕計画作成ガイドラインコメント」(2022-02-24)

2回目以降の大規模修繕工事も大切

マンションの大規模修繕は、1回行って終わりません。老朽化は日々進んでいってしまうため、先述の通り長期修繕計画に基づいて2回目、3回目と繰り返し実施が必要です。

2回目の大規模修繕は、一般的に築21年目から25年目の頃に行います。エレベーターや給水管、給水ポンプ、雨水排水ポンプなど、1回目では修繕の対象とならなかった部分で耐用年数を迎えている箇所を、修繕内容に加える必要があるでしょう。建物の設備を入れ替えたり、性能の高いものを導入したりと、時代の変化に合わせて向上させることも重要です。

 

大規模修繕を実施したい!まず何からやればいい?

長期修繕計画に基づいて大規模修繕を検討すべきタイミングになったら、まずは修繕委員会を発足させます。自分たちだけで進めるか、設計事務所やコンサルタント会社など専門家の力を借りるかを検討しましょう。後者の場合は費用がかかりますが、その分第三者による客観的かつ専門知識を生かした判断ができるはずです。
その後は資金計画を立て、事前調査として建物診断を行います。建物診断とは、目視や触診、機械調査などによって建物の状態を正確に把握するための調査です。
建物診断には以下の項目があります。


経年劣化診断
耐震診断
収益性診断

修繕が必要な個所を洗い出すことで、実際の大規模修繕に備えて必要な情報を揃えます。

修繕すべき箇所が判明したら、理事会・修繕委員会で検討し、予算や工事の時期などを決定し、施工会社の選定に入っていきます。相見積もりを取って依頼する施工会社を決め、再び総会で決議したら、いよいよ契約の段階です。

契約を終えて工事が開始されると、今度は工事の進捗を確認したり、着工後の追加工事について判断したりする必要があります。工事が完了したら施工業者より引き渡しを受け、予定通りに修繕されたかどうかを確認してください。

 

大規模修繕工事に関する注意点

大規模修繕工事を行う際、一部の箇所では、居住者の協力が必要となる場合があります。

協力を得るためにはあらかじめ資料などで説明をし、工事中や工事後もコミュニケーションを取り続けることが大切です。

万が一予定の変更などがあった場合は、すぐに居住者へ伝えて不安を与えないようにしましょう。トラブルが起こりやすいポイントは、以下のような箇所が挙げられます。

ベランダ

ベランダの工事は、居住者とトラブルになりやすい場所の一つです。
専用使用権のあるベランダは、居住者にとっては専用部に近い感覚のため、大規模修繕の対象となる共有部分であることを理解してもらわなければなりません。工事の際には窓や床部分に私物がない状態にしてもらう必要があります。

玄関

玄関ドアは外側が共用部分、内側は専用部分となっています。そのため大規模修繕の対象となっても、交換を拒否する居住者が出てくるケースがあるようです。

室外機

室外機は、工事の作業スペースを確保するために施工業者が一時的に移動させるのが一般的です。そのため工事の間居住者は、エアコンを使用できません。

工事の後は室外機の位置を元に戻しますが、その際の作業が適切でなければ、故障などの原因になってしまうでしょう。また教育の行き届いてない施工業者の場合、踏み台などにしてしまい、居住者を不快にさせてしまう可能性もあります。

 

よくある質問

ここで、大規模修繕に関してよくあるご質問を紹介していきます。

修繕委員会の設置は必須なの?

国土交通省が発表しているマンション標準管理規約では、5年ごとを目安に長期修繕計画を見直すことが推奨されています。定期的な見直しを行うためには、長期に渡って対応できる組織が必要なため、修繕委員会の設置は必須といえるでしょう。
居住者が感じる詳細な変化や不具合を念入りに調査するためにも、専門知識を設置することをおすすめします。

工事の保証期間はあるの?

施工業者によって異なります。ニーズワンの場合は、最長10年の保証期間を設けさせていただきます。

工事中は住人が在宅しなければならない?

玄関扉やアルミサッシ工事など、専用部や専用使用権のある共用部の施工の際は在宅が必要なケースもあります。外壁工事などの場合は、在宅している必要はありません。

工事の大まかな時間帯は?

一般的には日曜、祝祭日を除いた、8:00~18:00の時間帯で作業を実施します。

 

まとめ

大規模修繕は、マンションの性能を長く保つために重要なメンテナンスです。修繕委員会を発足してしっかりとした予定を立て、トラブルが起きないように工事を進めましょう。

ニーズワンでは、お客様満足度100%を目指して、安全かつ経済的な施工内容をご提案しています。メールでの調査診断や見積依頼に関するお問い合わせも可能なので、大規模修繕を検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。

 

株式会社ニーズワン 

【プロが教える】大規模修繕の導入・費用・注意点まで分かりやすく解説Part.2