マンションの耐用年数はどれくらい?左右される要素や対処法を解説。  | 株式会社ニーズワン

コラム
2022年9月12日

マンションの耐用年数はどれくらい?左右される要素や対処法を解説。

マンションを管理するにあたって知っておきたいのが、マンションがどれくらい持つのかということです。マンションには耐用年数が設定されていますが、実際にはそれ以上持つ場合もあれば、耐用年数に至るまでに補修工事が必要となることもあります。

今回はマンションの耐用年数や左右される要素、対処法などを解説するので、参考にしてください。

 

マンションの耐用年数ってどれくらい??

鉄筋コンクリート造のマンションの耐用年数は47年です。

耐用年数とは、所得税に関係する減価償却の計算を行うために法律で規定された法定耐用年数を指します。建物の耐用年数は構造によって異なりますが、ほとんどのマンションが鉄筋コンクリート造で作られているため、マンションの耐用年数は自動的に47年となります。

マンションの耐用年数=寿命ではない

マンションの耐用年数がそのままマンションの寿命になるかといえば、そうではありません。
なぜなら、法定耐用年数はあくまでも減価償却のために定められたものであり、マンション構成する構造や設備などの寿命とは全く関係がないからです。そのため、耐用年数を過ぎているマンションであっても、問題なく住むことができます。
なお、国土交通省が発表する一部の情報にRC造(コンクリート)の寿命に係る既往の研究例として、下記の知見が記載されています。


実態調査を行った結果、鉄筋コンクリート部材の耐久実態は50年以上あると認められた。
実際の建物減耗度調査の上、建物の減耗度と実際の使用年数との関係から、鉄筋コンクリート造建物の物理的寿命を117年と推定
固定資産台帳の減失データを基に、区間残像率推計法を用いて、家屋の平均寿命(残存率が50%になる期間)を推計した結果、(2011年調査)、RC系住宅は68年、RC系事務所は56年

(出典:国土交通省土地・建設産業局不動産業課住宅局住宅政策課 期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について)(2022-02-24)

 

マンションの寿命が決まる要素

マンションの寿命が決まる要素として、下記の3点が大きく影響します。


メンテナンス
建物の構造
コンクリートの質

それぞれの要素に関して説明します。

メンテナンス

マンションの寿命を大きく左右するのが、メンテナンスです。メンテナンスに関しては、新しいマンションと古いマンションで大きく異なる可能性があります。
新しいマンションなら、長期修繕計画書を作成し、定期的なメンテナンスを行っています。定期的なメンテナンスを行っていけば、マンションの寿命は想定よりも長くできる可能性があります。
しかし、古いマンションの場合、長期修繕計画が作成されていないことに加えて、定期的なメンテナンスを行わずに、劣化が目立つようになってから修繕を行うケースがあります。中には、20年~30年経過してもメンテナンスや修繕をほとんど行わないマンションもあります。これではマンションの寿命が短くなる可能性が高いでしょう。
また、古いマンションのうち1960年代から1970年代に建てられたマンションは、配管がコンクリートに埋め込まれているケースがあります。寿命を迎えた配管を交換することすらできないため、構造躯体の劣化が激しくなると想像できます。
メンテナンスの有無やタイミングによって、マンションの寿命が左右されることを理解しておきましょう。

建物の構造

建物の構造も寿命に影響する要素です。
特に重要になるのが耐震基準です。1981年6月以前に施工されたマンションは、旧耐震基準に沿って建設されているため、現在の新耐震基準を満たす耐震性がありません。
現在の新耐震基準では、大規模な地震で倒壊・崩壊しない(=震度6強~7でも倒壊しない)ことが基準となっています。
こうした背景から、旧耐震基準で建てられた古いマンションは選ばれにくく、入居者が集まりにくいため、早めに取り壊されるケースもあります。

コンクリートの質

マンションの寿命に影響するのが、使われた建材の質です。
1970年代に建てられたマンションでは、質があまり良くないコンクリートが使われており、築10年程度で雨漏りが発生するケースもありました。築40~50年が経過しているので、コンクリートの質によっては寿命を迎えていてもおかしくない可能性があります。
また、給排水管がメッキ銅管か塩化ビニールかによっても寿命が異なります。メッキ銅管は錆やすく、塩化ビニールよりも早めに劣化してしまうためです。

 

寿命が来てしまったマンションに起こりえることって?

マンションが寿命を迎えた場合、マンションをそれまでのように運営したり、維持管理したりするのが難しくなります。マンションの劣化によって、住民の命に危険が及ぶ可能性があるためです。
もちろん、長期修繕計画に沿って定期的なメンテナンスや修繕工事を行っているマンションもありますが、築年数が進むことで大規模修繕に掛かる費用は増加するケースもあります。
最終的にはマンションを建て替えるのと変わらないくらいの費用にまで達する可能性もあるため、注意が必要です。

また、マンションの居住者がずっと住み続けてくれる保証がない点も心得ておく必要があります。マンションの経年劣化だけでなく、仕事や家庭の事情で転居するケースもあるでしょう。
居住者が減ると修繕積立金が集まらなくなり、マンションを維持するほど状況が悪くなることも考えられます。

 

マンションの寿命が来てしまった場合はどうするべきか

では、実際にマンションの寿命が来てしまった場合、どのような選択肢があるのか紹介します。


建て替える
売却する
そのまま住む

それぞれについて説明します。

建て替える

選択肢の一つが、居住者負担でのマンションの建て替えです。ただ、マンションの建て替えという選択はかなり難しいものだと理解しておきましょう。
理由は下記のとおりです。


区分所有者の5分の4以上の賛成が必要になるから
建て替え費用が1戸あたり数千万円以上に及ぶから

新築時から住んでいる住民の中には、定年を迎えていて新たに住宅ローンを組めない方もいます。そのため、マンションの建て替えを提案しても区分所有者の理解や賛同を得られず、頓挫してしまう可能性が高くなるのです。
なお、建て替えが承認された場合、準備期間と工事期間を合わせて、数年は掛かると考えておきましょう。

売却する

次の選択肢がディベロッパーへのマンションの売却です。土地とマンションを売却して、区分所有者は売却益を手にして転居、ディベロッパーはマンションを解体して新しい建物を建設します。
ただし、土地・建物の売却費用からマンションの解体費用が差し引かれるため、区分所有者の手元に残る金額が少なくなるケースがあります。新しい住居を入手するのが難しければ、反対する区分所有者も多くなるため、売却は実現しづらいのが現実です。

そのまま住む

もう一つの選択肢が、寿命が来てもそのまま住み続けるというものです。

先述したように、新築時代から住んでいる区分所有者が高齢者となるケースが多く、新居を探して新たな生活を始める気力がない方もいらっしゃいます。そのため、寿命が来ているとわかっていても、住み続けることを選択するケースも往々にしてあります。
ただし、管理組合が稼働していなかったり、耐震性に問題があったりするため、何らかの対策が必要になると考えておくべきでしょう。

 

まとめ

今回はマンションの耐用年数や寿命、影響する要素などについて解説しました。

マンションの耐用年数は47年ですが、寿命とは別に考える必要があります。また、メンテナンスや建材の質などが、マンションの寿命に影響することを理解しておきましょう。

 

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