塗装業に転身する前、勝本はサラリーマンだったそうだ。眼鏡の奥の目が優しそうで、話しぶりも丁寧。無骨な職人の中にいて、ひときわ物腰がやわらかい。どうしてサラリーマンから塗装業に? と聞くと、「塗装業をやっている叔父がいたので、子供の頃から馴染みのある仕事だったんですよ」とにこやかに答えてくれた。
住民の方とは、いつも自然な笑顔であいさつを交わす。「サラリーマン時代のことを考えれば、あいさつなんかは当たり前です」。塗装作業中に人が通れば、塗料のしぶきがかかる可能性があるので、隣の作業員にも声をかけながら通り過ぎるまで作業を中断する。塗装前の養生(塗装しない部分のカバー)にも細心の注意をはらい、塗料で建物を汚さないようにする。なにごとも実直に丁寧に、が信条だ。