今回は、実数精算に関連したお話です。
皆様のマンションの総会で「大規模修繕を実施する」という決議がなされ、監理者様を決定し、
具体的に計画がスタートした時、誰でも皆「できるだけ費用はかけず、かつ良好な施工を
望む」のは当然です。
監理者様も、その点を考慮して、事前に想定する修繕箇所・数を少なめに設定する傾向が
あります。
施工業者を数社選定し、見積を依頼する為に現地調査を行いますが、これは1階周りを
確認し、廊下階段を回って屋上の状態を見るだけで、直接行けない個所(占有部の
ベランダや外壁周り)は、下から眺めるだけで、実際現状がどうなっているかは分かり
ません。
そのために「下地補修・タイルの貼り替え」は、当初監理者様の想定数量で見積し、足場を
設置した後で実地調査をし、その数量で精算をするという「実数精算」方式が今の主流に
なっております。
この方式は、想定数量より実数精算の数字が少なければ、当然に組合様にご返金となり、
実際状態が非常に良く、かなりの金額お返しした物件も多数ございます。
しかしながら、最近は監理者様の想定数量が非常に厳しくなり、実際調査すると数量が
大幅増になった現場が続きましたので、その一つについて述べさせて頂きます。
写真の物件は外壁が総タイル張りの現場で、事前の下見では外見上非常に状態が良く、
タイルの貼り替えも非常に少ないとの見解で、事前計画では、「貼り替えのタイルは既成
品使用」とのご決定でした。
想定数量も2,000枚程度(実際はもっと少なくなる想定)でしたが、調査の結果数百枚単位
での貼り替え箇所が複数確認され、既製品対応では、服の継ぎはぎの様になって資産価
値が大幅に低下してしまうので、特注で現状と同じタイルを窯焼きをすることになりました。
費用の発生もさる事ながら、大きな問題は、タイルが焼きあがるまでに1ヶ月半程度期間が
掛ってしまう事です。
着工前に窯焼きの手続きが行われていれば問題は無かったのですが、この現場の場合は、着工
して3週間ほど経ってからのご決定だったため、工期的に非常に厳しい状況となってしまい
ました。
(タイルが入るまでの1か月以上の間、作業が進捗しない)
私のアドバイスとしては
① 外見上いくら状態が良く見えても、実際はどうなっているかは全くわからないので、
常に安全側に考えておく。
② 特にタイルは製作日数も掛る為、新築時の在庫が無い場合は、窯焼きを発注して
おく。タイルは腐る物ではないし、万一余ったとしても、次回以降の修繕に使用でき
ます。
③ 窯焼きの数量は最小単位1ロット分でも良い。調査の結果不足が生じても、当面
在庫分で対応可能となり、追加分納品まで作業が可能となり、工期的影響が少なく
なる。
上記、ぜひお勧めいたします。
マンション大規模修繕工事のオガワリフォーム
工事部:栁澤