大規模修繕工事は、工事項目で大まかに分けると

①共通仮設工事②直接仮設工事③下地補修工事

④タイル補修工事(外壁等がタイル仕上げになっている場合)

⑤シーリング工事⑥洗浄工事⑦各種塗装工事⑧各種防水工事

⑨その他建築雑工事の9項目から成り立っております。

前回は「⑦各種塗装工事」についてコメントしましたので、

今回は「⑧各種塗装工事-1ウレタン防水工事」についてコメント致します。

大規模修繕工事では内外壁ならびに各天井の塗装工事が完了したのち、

屋上・塔屋・ルーフバルコニー・ベランダ・庇天端等の既存防水層に適した防水工事を実施致します。

今回はウレタン防水工事のみに特化したコメントと致します。

コンクリート(モルタル防水)やアスファルト防水シンダーコンクリート押えの既存防水層で

改修仕様が組まれる一般的なウレタン防水工事の工法は、

A)通気緩衝工法B)密着工法C)機械固定工法の3工法や、

その他に既存防水層がアスファルトや塩ビシートの上にも施工出来る環境対応型(特定化学物質無配合)の

ウレタン塗膜防水材がありますが、マンションの大規模修繕工事で最も多く使用される代表的な

A)通気緩衝工法・B)密着工法について説明致します。 

A)通気緩衝工法;防水保証期間が10年間のため、主に屋上・塔屋やルーフバルコニー等、

階下が居室になる場合の防水に使用致します。経年により既存防水層が水分を多く含んでいる場合、

上から密着工法で改修してしまうと躯体内の水分が逃げ場を失い、

水蒸気となりウレタン防水層を押し上げ、膨れ・破れ・亀裂が発生致します。

その症状を解消するために改質アスファルト樹脂・ガラスメッシュ+特殊プラスチックフィルム・

ポリエステル不織布を主成分とする通気シート(各防水メーカーにより異なる)を用いて

ウレタン防水層を部分密着させることにより、下地内に滞留する水分を脱気装置を通じて外部に逃がし、

密着耐久性に優れた防水層を実現させております。

保護仕上材には耐候性の高いフッ素やシリコンを使用することが推奨されますが、

仕上がった後に雨等で濡れると非常に滑りやすくなってしまうため、

ルーフバルコニー内はチップを混入して粗面仕上げにすることが多いです。 

B)密着工法;主に階下が居室とならないベランダ・庇天端・笠木天端等に使用致します。

既存防水層がコンクリートやウレタンの場合に施工が出来ます。

既存が塗装で仕上がっている場合は、セメント系の材料で下塗りをして一度絶縁してから施工を致します。

通気緩衝工法よりも安価であり、役物が多い場所でも液状で施工するため、

シームレス(途切れ・継ぎ目のない)な防水層が形成され防水性能に優れております。

保護仕上材の種類により防水保証が510年間と異なりますが、

コスト面からも一般的にはアクリルウレタンを使用し、防水保証5年間とすることが多いです。

一般的なウレタン防水材は、アスファルト防水層や塩ビシート防水層の上に施工しても

接着力強度が保たれないため、施工前に既存防水層を確認することがとても重要となります。

次回は「⑧各種防水工事-2改質アスファルト防水工事」についてコメント致します。

マンション大規模修繕工事のニーズワン

増田 浩二