大規模修繕工事は、工事項目で大まかに分けると
①共通仮設工事
②直接仮設工事
③下地補修工事
④タイル補修工事(外壁等がタイル仕上げになっている場合)
⑤シーリング工事
⑥洗浄工事
⑦各種防水工事
⑧その他建築雑工事
の、8項目から成り立っております。
前回は「②直接仮設工事」について書きましたので、今回は「③下地補修工事」についてコメントします。
コンクリート下地(アルカリ性)は経年の雨・雪(酸性)や排気ガス(酸性)により中性化が進行し、
A:経年のひび割れ(クラック)、B:欠損、C:鉄筋押出し(鉄筋爆裂)などが発生致します。
モルタル下地の場合は、A~Cの劣化の他にモルタルの浮き(躯体コンクリートからの肌別れ)も発生致します。
外壁等で使用されるコンクリートのアルカリ成分は10年間で約1㎝中性化が進むため、
塗装仕上げのマンションの場合、築10~12年で大規模修繕工事を実施することが理想と言われております。
一般的な補修方法として、0.3㎜巾未満のヘアークラックは高分子エマルション混入モルタルを
ヘアークラックに沿って擦り込み亀裂を埋めていきます。
0.3㎜巾以上のクラックはクラックに沿って巾10㎜×深さ10㎜の溝を掘り、
コンクリート粉末をエアーブローで清掃、プライマー(下地調整材)を塗布した後、
ノンブリードウレタン系シーリング材を充填、仕上げに高分子エマルション混入モルタルを充填して
平滑に仕上げる方法(Uカットシーリング工法)が用いられます。
鉄筋押出し部の補修については、まず露出した鉄筋周辺の脆弱化(中性化)したコンクリートを除去します。
次に露出した鉄筋は発錆している(※発錆により鉄筋が膨張し外部のコンクリートを押し出す)ため、
ディスクサンダーやワイヤーブラシ等で錆を落とし、
防錆モルタル(アルカリ性)を用いて埋め戻し平滑に処理します。
欠損部についても防錆モルタルで成形致します。
浮き補修については、専用ドリルで直径4~8㎜×深さ20㎜以上(躯体面から)の孔を16穴/㎡または5穴/mあけ、
グリルポンプを用いてエポキシ樹脂(接着剤)を約30g注入し、
SUS304製のネジボルトを挿入して孔を平滑に埋めます。
このように劣化状況に応じて適切な補修方法を選択していきます。
最近では外壁の吹付タイル(外壁用の複合仕上げ材)に
アスベスト(石綿)が混入しているケースが出てきているため、
粉塵を出さない工法もありますが、長くなってしまうので、それはまた改めて・・・
マンション大規模修繕のニーズワン
増田 浩二