「大規模修繕の周期が12年目安の理由」と「築年数別の対象部位」を徹底解説! | 株式会社ニーズワン

コラム
2023年3月14日

「大規模修繕の周期が12年目安の理由」と「築年数別の対象部位」を徹底解説!

 

マンションを適切に管理・運営するために行う修繕工事では、マンション全体を修繕する大規模修繕工事を行う時期と、部分的にメンテンナンスを行う時期があります。しかし、どれくらいの周期で大規模修繕工事を行うのか、築年数に応じてどの部分をメンテナンスすればいいのかわからないマンション管理組合の方もいらっしゃるでしょう。

そこで今回はマンションの大規模修繕工事の周期や築年数別のメンテナンスの対象部位を解説しますので、マンション管理・運営の参考にしてください。

 

大規模修繕工事は「12年周期」説が一般的

 

マンションなどの建物で定期的に行われる大規模修繕工事は12年周期で実施する、というのが一般的に認知されている周期です。

なぜそのように認知されているのかというと、国土交通省が発表している長期修繕計画作成ガイドラインに大規模修繕工事の周期について記載されているためです。平成20年に策定されたガイドラインには、マンションの修繕とは現状レベルを新築当初のレベルまで回復させること、1回目の大規模修繕は新築から12年目程度で行うことが記されていました。そのため、マンションの大規模修繕工事は12年周期で実施するものと認知されているのです。

ただし、令和2年6月に関連法案が改正されたことや、社会経済情勢の変化などを受け、令和3年9月にガイドラインの内容が見直されて、現在では12年目~15年目程度で行うと変更されています。

もちろん、マンションの立地や維持管理状況によっては、大規模修繕工事の周期は短くなったり、長くなったりするため、工事のタイミングを見極める必要があります。

15年周期やそれ以上の周期となるケースもある

では、すべてのマンションが12年周期で大規模修繕工事を行っているかというと、そうではありません。

平成30年5月に国土交通省が発表した、マンション大規模修繕工事に関する実態調査によると、直近3年間で実施された大規模修繕工事944事例のうち、1回目の修繕工事が行われたのは築13年~16年前後が多いことがわかっています。現在では15年周期での修繕工事を提案する業者も多くなっている他、最長18年周期の修繕サービスを提供する業者も登場しています。

また、独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)が運営する旧公団の団地では、大規模修繕工事の周期は18年です。

実際には15年周期やそれ以上の周期となるケースもあることや、マンションの立地や維持管理体制などによって大規模修繕工事のタイミングが異なることは、理解しておいた方がいいでしょう。

 

築年数別のメンテナンス対象部位の確認

 

次に、築年数別のメンテナンスの対象となる部位を紹介します。

マンションの維持管理においては、部分的なメンテナンスや小さな修繕、大規模修繕が行われますが、それぞれ実施されるタイミングが異なります。マンションを構成する部材や設備などによって寿命が異なるためです。

そのため、マンションの築年数ごとにどの部分をメンテナンスするのか、どのタイミングで修繕工事を実施するのか、一般的な流れを把握しておくことが大切です。

なお、以下に紹介する築年数と対象部位は、各築年数を迎えたタイミングでメンテナンス・工事が適切に実施されたことが前提になります。定期的なメンテナンス・工事を行ってない場合、追加で対応する必要があるため注意が必要です。

築年数:4~6年目

マンションの築年数が4年目から6年目を迎えたタイミングは、劣化の兆候が見られ始める部位のメンテナンスを行う時期です。特に鉄部塗装が劣化したり、鉄部の錆が見られたりするケースが見られるため、メンテナンスを行います。

他にも、建物点検報告書を確認しながら、鉄部を中心に劣化している部位が見られないかを確認して修繕の是非を判断したり、今後の大規模修繕工事に向けて、長期修繕計画を見直したりしましょう。

築年数:7~10年目

マンションの築年数が7年目から10年目を迎えたタイミングでは、鉄部に加えて屋根や屋上、給水ポンプ、雨水排水ポンプの劣化が見られるケースがあります。想定よりも劣化が進んでいると判断できる場合は、部位の想定寿命に関わらずメンテナンスを行いましょう。

また、数年後に控えた大規模修繕工事に向けての準備を始める時期でもあります。修繕委員会を立ち上げたり、建物点検報告書を確認したりして、建物全体の現状を把握することが大切です。

大規模修繕工事を実施する具体的な時期を想定するためにも、建物診断を受けた方がいいでしょう。

築年数:11~15年目

マンションの築年数が11年目から15年目を迎えたタイミングで、第1回目の大規模修繕工事を行います。

修繕部位は鉄部、外壁、屋上、電灯設備、廊下・会談、バルコニー、インターホン、TVアンテナ、消火栓、エントランス、集会室用、機械式駐車場、付属施設、車道・歩道、植栽などさまざまな箇所となります。事前に実施する建物診断で、特に修繕が必要と判断された場所を中心に、修繕工事を行いましょう。

このタイミング以降、マンションのさまざまな部位で経年劣化が顕在化しやすくなります。今後の修繕に掛かる費用を抑えるためにも、この時期に大規模修繕工事を行うことをおすすめします。

また、修繕工事を行った後は、工事実績を反映させた上で長期修繕計画の見直しを行いましょう。

築年数:16~20年目

マンションの築年数が16年目から20年目を迎えたタイミングは、大規模修繕工事後に発生する劣化箇所のメンテナンスを実施する時期です。メンテナンスを行う部位としては、劣化しやすい鉄部や想定寿命を迎える屋上防水をメインに、屋根、火災感知器、機械式駐車場、給水ポンプ、雨水排水ポンプなどが挙げられます。

特に給水ポンプは一般的なもので14年から18年、エンジン付きポンプは18年から24年が取替えのタイミングとなります。また、駐車装置も18年から22年が取替え時期です。
状況によっては設備診断を受けた方がいいケースもあるため、直近の設備点検などの報告内容を確認して判断しましょう。

築年数:21~25年目

マンションの築年数が21年目から25年目は、2回目の大規模修繕工事を実施する時期となります。第1回目の修繕工事と同様に、建物診断を行いマンションの現状を把握した上で修繕箇所を判断します。

ただし、時代の移り変わりや社会の変化とともに住宅水準も向上していくため、耐震性や断熱性など建物や設備の性能・希望を新築時の水準から向上させることが重要です。そのため、修繕よりも改良の割合を大きくすることが求められます。

修繕部位は第1回目の部位にエレベーター、給水管、雑排水管、給水ポンプ、雨水排水ポンプなどが加わります。

築年数:26~30年目

マンションの築年数が26年目から30年目を迎えるタイミングは、エレベーターの交換時期です。2回目の大規模修繕工事で交換していない場合は、直近の設備点検報告書を確認して、具体的な交換時期を検討しましょう。

また、インターホンを交換する時期にもなるため、合わせて検討するといいでしょう。

築年数:31~40年目

マンションの築年数が31年目から40年目では、3回目の大規模修繕工事を実施する時期となります。これまでの修繕箇所に加えて、玄関ドア・サッシ・手すりなどの交換について検討が必要です。

また、性能面・機能面・材質面の更新や改善を行うために、2回目の大規模修繕工事の時よりも改良の割合をさらに大きくすることが重要になります。

 

まとめ

 

今回は大規模修繕工事の周期と築年数別のメンテナンスの対象部位について解説しました。

マンションの大規模修繕工事の周期は12年が一般的とされていますが、15年周期や18年周期で行うケースもあります。建物の立地条件や管理体制、修繕工事を依頼する業者などによって周期年数は変動するため、どのように対応するのか適切に判断することが重要です。

また、築年数によって修繕箇所は異なることに加え、劣化具合によっては修繕のタイミングも変動します。信頼できる建物診断・設備診断の業者と意見を交換しながら、最適な修繕時期を模索しましょう。

 

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