一見して笑顔が多く、朗らかな印象を受ける。住民とも職人とも、ひときわ会話が多いようだ。
「住民の方とあいさつをするのは当然なんですけど、僕はさらにひとことを加えたり、時間がある方とは雑談したりするようにしています。住民の方と立ち話をしていると、ちょっとした不満を話してくださることが多いですから」
杉本にしてみれば、住民の方の「ちょっとした不満」や「不便」の声を汲み取ることは、とても大事な仕事らしい。
たとえば、「長いあいだ洗濯物が干せない」という声を聞けば、晴れ間の出た土曜日は作業を調整してベランダを使えるようにした。また、自宅に来客のあることを知ったときには、その日のベランダの外の作業員の行き来を禁止したこともあった。これらの調整も、日程の許す範囲であれば対応は可能だ。住民の方とのなにげない雑談から生まれたアイデアだ。
ちょっとした不満や不便をどれだけなくせるか。ひとつひとつは小さなことでも、その積み重ねが住民の方との信頼関係につながっていく。