大規模修繕工事は、工事項目で分けると
①共通仮設工事
②直接仮設工事
③下地補修工事
④タイル補修工事(外壁等がタイル仕上げになっている場合)
⑤シーリング工事
⑥洗浄工事
⑦各種防水工事
⑧その他建築雑工事
の8項目から成り立っております。
前回「①共通仮設工事」について書きましたので、今回は「②直接仮設工事」について書きたいと思います。
直接仮設工事とは、高所作業における作業員の足掛かりのために仮に組立てた
構造物のことで足場架設工事ならびにゴンドラ架設工事のことを言います。
ちなみに架設とは、何かに(どこかに)吊るしたり架けたりして設置するものという意味です。
大規模修繕工事で使用する足場には、大きく分けて枠組(ビティ)足場・
クサビ式(ビケ)足場・次世代足場の3種類があります。
何がどう違うのか、それぞれのメリットとデメリットを説明していきます。
Ⓐ枠組足場は鋼管を門型に溶接された建枠を主として、
鋼製布板や筋交(ブレス)等の部材を組み立てる足場のことで、クランプ(接合部材)で固定するため、
単管パイプを併用して組み立てても倒壊しにくいことがメリットのひとつではあります。
デメリットは作業工数や部材数が多いため、架払いの際に部材を落とす危険性(ヒューマンエラー)が
最も高いという点や作業床と作業床の高さの間隔が1.7mと低いため作業効率が若干落ちるという点です。
Ⓑクサビ式足場のメリットは枠組足場に比べて工数や部材が少ないため、
枠組足場のようなヒューマンエラーが確率的に低いという点。
更に作業床の間隔が1.8mと枠組足場より10㎝高いため、作業効率が良いという点です。
一方デメリットは手摺や筋交等を支柱の緊結部にクサビで緊結するだけなので
強風や振動で緊結部が緩んでくる危険性があるという点です。
ですので、個人的には7階建て以上の建物では出来るだけ選択しないようにしております。
Ⓒ次世代足場は、クサビ式足場の緊結部が緩んでくるという欠点を解決し、
更に作業床の高さの間隔が1.8mのものと1.9mのものもあり、
作業効率も良く安全性も高いという点が最大のメリットです。
であれば当然「全て次世代足場にしては?」と思われることでしょうが、
価格が一番高いため、全ての足場を次世代足場にすることが出来ません。
次世代足場は「価格が高い」という点が最大のデメリットです。
以上のことを踏まえた上で、予算のことも考えながら現場に合わせた足場を選択していきます。
価格面だけで順位を付けるとⒷ→Ⓐ→Ⓒとなります。
前回のブログで「仮設工事が一番お金が掛かる」という話しを書きましたが、
7階建て以上のマンションで修繕を考えている管理組合の方々は、
貴マンションで掛かる費用を把握するために早めにお見積りを取ることをお薦め致します。
マンション大規模修繕のニーズワン
増田 浩二